買主が見つかっても、まだ「売れた」とは限らない
| 所在エリア | 鎌倉市海沿いエリア |
|---|---|
| 種別 | 土地 |
| 価格帯 | 7000万円 |
| 媒介形態 | 専属専任 |
| 売却までの期間 | 3ヶ月 |
住宅ローンの問題は、売主様にとっても無関係ではありません。
鎌倉市内で、7,000万円の土地の売却をお手伝いしました。
購入されたのは、勤務先や収入面では信用力の高い会社員の方でした。
土地の購入費に建物の建築費などを合わせ、住宅ローンの申込額は約1億5,000万円。
早速、売買契約を締結しました。
しかし、売主様側の仲介をしていた私は、契約が終わっても安心できませんでした。
心配だったのは、買主様の住宅ローンです。
といっても、買主様の勤務先や収入を心配していたわけではありません。
私が心配していたのは、この土地そのものでした。
この土地は、一部が土砂災害特別警戒区域、いわゆる「レッドゾーン」に入っていました。
私はこれまでにも、レッドゾーンを含む不動産の売買を経験しています。
しかし、私の経験する限り、レッドゾーンを含む土地で住宅ローンの審査が通ったことはありませんでした。
過去の取引では、いずれも買主様が住宅ローンを利用せず、現金で購入されていました。
そのため今回も、買主様側の不動産会社には、
「本当に住宅ローンは大丈夫ですか?」
と再三確認していました。
そして、私が心配していたことが実際に起こりました。
買主様が申し込んだ金融機関の一つから、融資不可という回答が出たのです。
理由は買主様の勤務先や収入ではなく、レッドゾーンを含む「土地の属性」でした。
ところが、もう一方の地元の金融機関では審査が進み、最終的に融資が承認されました。
この話から「レッドゾーンでも地元の金融機関なら住宅ローンは大丈夫」ということを言いたいわけではありません。
今回の事例を通して、私がお伝えしたいのは、
住宅ローン審査は、金融機関によって物件の見方がこれほど違う
ということです。
同じ買主様、同じ収入、同じ勤務先、同じ土地、同じ建築計画。
それでも、一つの金融機関は融資不可、もう一つの地元の金融機関は融資承認。
住宅ローンは、「この人はいくら借りられるのか」という話だけではないのです。
「その金融機関が、その不動産をどう評価するのか」
によっても結果は大きく変わります。
住宅ローンの問題は、売主様にとっても無関係ではありません。
住宅ローンというと、買主様の問題だと思われがちです。
しかし、売主様にとっても決して他人事ではありません。
せっかく購入希望者が現れて売買契約まで進んでも、融資利用の特約がある場合、住宅ローンが承認されなければ契約が解除される可能性があるからです。
特に、崖地、擁壁、私道、接道、借地、再建築、災害リスクなど、何らかの特徴を持つ不動産は鎌倉に多いのですが
そういう不動産を売却するときには、「この物件を金融機関がどう評価するのか」
という視点も持っておく必要があります。
今回の取引でも、一つの金融機関は融資不可、もう一つの金融機関は融資承認という、まったく違う結果になりました。
もちろん、
「ネット銀行はダメで、地元の銀行なら大丈夫」
ということではありません。
金融機関によって、担保評価や災害リスクに対する考え方、地域性、審査基準などが異なるからです。
ある金融機関では難しい物件でも、別の金融機関では融資できることがあります。その逆もあります。
今回の取引を通して、
「レッドゾーンなど、特殊な物件については、金融機関によって判断が大きく異なることがある」を強くお伝えしたいのです。
売却では「買主を見つけること」だけが仕事ではありません
不動産会社の仕事というと、広告を出して買主様を見つけ、契約をまとめることだと思われるかもしれません。
しかし、特に鎌倉のように一つひとつの土地に特徴がある地域では、それだけではありません。
その不動産の特徴を理解して買主様側に正確に伝える。
そして売主側の仲介であっても、買主様の住宅ローンの状況まで注意を払いながら取引を進める。
買主様を見つけることはゴールではありません。
売買契約を締結しただけでも、まだ終わりではありません。
無事に決済を迎え、売主様に売却代金が支払われて、初めて「売却できた」と言えるのだと思います。
今回の取引は、そのことを改めて感じた売買でした。
担当者より
田原 歩 / 営業担当
長く続いた超低金利の時代から、「金利のある時代」へと変わってきました。 こうした中で、金融機関の住宅ローンに対する考え方も変化していると、日々の取引を通じて感じています。 住宅ローンは、金融機関にとって単に住宅購入資金を貸して終わりの商品ではありません。 住宅ローンをきっかけに、給与振込、預金、資産運用、保険、さらには将来の相続や事業資金など、長いお付き合いにつながる可能性があります。 だからこそ金融機関は、 「誰に貸すのか」 を見ています。 そして、もう一つ忘れてはいけないのが、 「どんな不動産に貸すのか」 という視点です。 特に鎌倉には、崖、擁壁、私道、接道、借地、災害リスクなど、それぞれに特徴を持った不動産が数多くあります。 こうした不動産では、買主様の勤務先や収入だけを見て「住宅ローンは大丈夫だろう」と判断することはできません。 また、「この金融機関なら大丈夫」と単純に言えるものでもありません。 私たちは日々の売買を通じて、金融機関によって不動産の見方や融資判断が大きく異なることを、実際の取引の中で経験しています。 売主様側の仲介であっても、買主様の資金計画や融資の進捗まで注意を払い、無事に決済を迎えるところまで見届ける。 それも、私たちが大切にしている仕事の一つです。