■日銀による「資金循環統計」
日銀は、家計が保有する金融資産残高(現金・預金、株式等、投資信託、国債、生命保険・年金、外貨証券、等)を3カ月ごとに発表しています。
その金融資産残高は6月末時点で2239兆円と、前年比での伸びは+1.0%となり過去最高を更新しました。
背景にはもちろん、投資信託(前年比+9.0%)や株式等(前年比+4.9%)の増加が寄与しています。
ただし、これは名目ベースなのです。
物価上昇の影響を加味した実質ベースでみた場合は、なんと! 金融資産残高の伸びは前年比-2.7%と4四半期連続のマイナスが続いており、名目ベースとかなり景色が変わってきます。
当然、この名目値と実績値の差はインフレのせいで、日本の個人金融資産は「現預金」が全体の半分以上を占めているため、物価上昇に弱く、その価値がどんどん減っているということを示しています。
インフレに強い「株式等」「投資信託」は増えたとはいえ全体の19%程度しかありませんので、インフレの影響を加味すると個人金融資産全体ではマイナスになってしまい、静かに資産崩壊が起こっているとも言えます。
ちなみに、2025年4~6月期における米国の家計の株式への配分比率は過去最高の45.4%に達したとのこと、これが何を意味するのか?
日本は長くデフレが続きましたので貯金が安全という時代が続きましたが、そんなデフレ時代を終え、インフレ時代という多くの人が経験したことのない新しい時代へ突入したという認識のもとで自分自身の資産管理ができるかどうか。これが資産を守る上での明暗を分けることはいうまでもありませんね。