鎌倉日和のお散歩ブログ
鎌倉日和【ハキリアリの終焉】
今日何気なくパソコンを見ていたら――『女王アリ亡き後はどのように滅ぶ? "ハキリアリの群れの終焉"展示が興味深い 』という記事が目に飛び込んできました。
もともと、生き物が好きで、高校時代は理科部に所属してテントウムシやミツバチの生態研究をしていたほどなので、今回のニュースに思わず釘付けになってしまいました。
ニュースの内容は、多摩動物公園(東京都日野市)のハキリアリの展示です。
アリは女王アリが亡くなると、徐々に巣は小さくなり、巣は終焉を迎えてしまうのですが、その女王アリの死亡後にアリの巣が終焉を迎える様子を展示していたというニュースです。
動物園といえば生きている生物を展示する場というイメージですが、それをあえて『終焉を迎える様子』を展示した動物園の意図を知って、ある意味感動しました。
アリの巣にいるアリは全て、1人の女王アリから生まれた子供によって構成されています。そういう意味では巣の中にいる全員が『家族』といえますし、女王アリが死んだらもう若い世代の生まれない。まさに女王の死が意味するのは、群れの「終焉」です。
ハキリアリとは南米ペルーの原産で「農業」を営む昆虫として知られています。ハキリアリの『ハキリ』は葉を切るということだと思いますが、アリが葉を細かく切って、巣の中に運び、巣の中でキノコを育ててそれを食料にしている、まさに農耕型のアリなのです。
■アリの巣は社会の縮図
働きアリはすべて女王のこどもなので、女王アリの死後、働きアリたちが寿命(半年~1年)を迎えるにつれ、徐々に群れは衰退していくことになります。
生き物を扱う動物園があえて積極的に『老い』や『死』を展示することの意味は深いと思います。
群れがどう生きて、どう生を終えていくのか。。。ハキリアリの「社会性」を知るという意味でもとても興味深いのですが・・
高度に細分化された分業による暮らし(社会性)を間近で観察し、その終焉を迎えるにあたって、分業化された役割がどのような変遷を辿るのかもとても興味深いです。
ちなみに、ハキリアリは大まかに以下のような役目を分業しているといわれています。
・巣の周囲を探索
・対象の植物~巣までの道を構築、保守、安全確保
・葉を切る、運ぶ
・葉に乗る
・葉を受け取り掃除、細断、加工
・菌園の増築
・菌園の保守
・巣の構築(穴掘り等)
・巣内の清掃
・菌糸体(エサ)の収穫
・古くなった菌園の解体
・卵、幼虫、蛹の世話、引っ越し
・働きアリの世話、清掃
・女王の世話
何も言語を持たないアリがこのように高度に役割分担しながら社会を構築していくのはすごいことだと思います。
女王アリは「群れに指示、統率をしている」というイメージで見られがちですが、女王亡き後の群れは、すぐに滅びることなく、働きアリは今までと同じ生活を維持するために、それぞれの作業をこなし続けていったそうです。
一方で、終焉間近の巣では兵隊アリが働きアリの役目をこなしているところも観察されたそうです。アリが自分で人手の足りない役割を判断して率先してその役割を担ったのか?誰か指示を出したのかはわかりませんが、、、ある意味、人間社会の組織より高度な組織力を感じます。