鎌倉日和のお散歩ブログ
鎌倉日和の不動産用語解説 【敷金】その4
前回のブログでは、入居時にハウスクリーニングの『特約』がある場合のケースについて
みてきましたが、今回は・・・・・。
■入居時にハウスクリーニングの『特約』がない場合
ハウスクリーニング費用は賃貸借契約書の特約への記載有無によって大家さんの負担か
借主様の負担かが分かれてくるということはすでにお話しした通りです。
そして。特約への記載が無い場合は大家さんの負担となっております。
ハウスクリーニング費用が大家さんの負担である根拠は裁判所の判決やガイドラインなどから
読み取ることができます。
すでにお話しした通り、特約がない場合は、敷金から原状回復費用を差し引いた金額が返還されます。
ここで、改めて、『原状回復費用』とは、どのようなものなのでしょうか?
詳しく見ていきたいと思います
裁判所が考える原状回復費用
①建物の通常損耗分をもとの状態に回復することではなく
②賃借人の故意・過失等による劣化の回復を意味するとの判断を示してきました。
これは賃貸借契約の対象となる建物の価値は、そもそも時間の経過により減少するものであり
賃借人が物件を定められた使用方法に従って、社会通念上通常に使用していれば、
賃貸借契約終了時に当初の状態よりも建物の価値が減価していたとしても、そのまま賃貸人に
返還すればよい、という考え方に基づいています。
建物の通常損耗分は、賃貸人としては、建物の減価が進行する過程で減価償却費や修繕費用の
必要経費分を賃料に含めて支払いを受けて回収してきているので、原状回復の対象となるのは
賃借人の故意・過失等による劣化分ということです。
ガイドラインの考える原状回復費用
ガイドラインは、裁判所の考え方を取り入れて、原状回復は賃借人が借りた当時の状態に戻すもの
ではないということを明確にし、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち
賃借人の故意・過失。善管注意義務違反、その他通常の私用を超えるような使用による損耗・毀損を
復旧すること」と定義しています。
このように、ガイドラインも裁判所も『原状回復』については、基本的な考え方を示してはいますが
敷金(の返還)を求めるトラブルは年々増加の傾向にあるようです。
そのような争いごとは、だれでも嫌いですよね。
なので、そのような争いごとにならないためにも、未然に予防することを心がけていきましょう
敷金トラブルの未然防止策
原状回復をめぐるトラブルの大きな原因として、入居時及び退去時に物件の確認が不十分であること
があげられます。
居住用建物の賃貸借契約では、当事者間の記憶だけではあいまいとなって、損耗等の箇所、
発生の時期など事実関係の有無 等をめぐってトラブルになりやすいのです。
トラブルを未然に防止するために、入居時及び退去時にチェックリストを作成し部位ごとの損耗等の
状況や原状回復の内容について、当事者が立会いのうえ十分に確認することが必要だと思います
具体的な損耗の箇所や程度といった物件の状況を平面図に記入したり、写真を活用することも 重要です。
こうしたチェックリストなどは、後日トラブルとなり、訴訟等に発展した場合でも証拠資 料になりうるので
迅速な解決のためにも有効であると考えられます。