鎌倉日和のお散歩ブログ
鎌倉日和の不動産用語解説 【敷金】その1
2~3月は引っ越しの季節。卒業、入学、転勤、転職など、多くの人が
新しい生活へ向けて準備を進めます。
そのときに遭遇するのが『敷金』の問題。
せっかくの新生活に当たって、すっきりとした気持ちで新たなスタートを切りたいですよね。
そこで、今回はトラブルにならないように、『敷金』についてお話ししたいと思います。
■『敷金』とは何でしょうか?
敷金とは、賃借人が借りた家屋を明け渡すまでに生じた賃貸人に対する一切の債権を担保するものである。
※一切の債権とは借主様に対する『未払い賃料債権』と『損害賠償権』
つまり、分かりやすく言うと、敷金とは、『何かあったときのために大家さんに預けておくお金』なのです。
賃貸借契約が終了した場合、敷金から賃料の未払分や原状回復費用を差し引いた残額が
大家さんから借主様に返還されます。
敷金 - (賃料の未払い分 + 原状回復費用) = 大家さんからの返還金
ここで、借主様がどの範囲まで原状回復義務を負い、その費用を負担するのかということが問題になり
そのことが原因でトラブルになるケースが多いのです。
そのことから、平成10年3月には『国土交通省』による『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』が
公表(平成16年2月には裁判事例の追加)されました。
■原状回復義務の基本的な考え方
建物の損耗は次の3区分が考えられます。
①建物・設備等の自然劣化・損耗(経年変化)
②借主の通常使用により生ずる損耗など(通常損耗)
③借主の故意・過失、善管注意義務違反、其の他通常の使用を超える使用による損耗等
特に約束のない場合は、
①.②は大家さんの負担
これらの経費はすでに家賃に含まれていると考えられますから、借主様には
請求できないとされています。
③は、借主様の負担
原状回復義務があり修補・修繕費用を借主様が負担する必要があります。
■結論としては
●大家さんの負担すべき費用
次の入居者を確保する目的で行う設備の交換、化粧直しなどのリフォーム費用
●借主様が負担すべき費用
原状回復義務がある修補・修繕費用
■ 善管注意義務って何?
借主様には「善管注意義務」という「借りた部屋を善良なる管理者の注意を持って使用する」
という民法上の義務(民法第400条)があり、それに反して「不注意、管理・使用方法が悪い結果、
部屋や備品を汚したり壊したりすれば、損害賠償義務を負う」ことになります。
従って、敷金を全額返金してもらうために注意を払って暮らすということももちろんあるでしょうが、
やはり「人からお借りしたものはきれいにしてお返しする」という、小さい頃から教えられた道徳心で
お部屋に愛情を持って暮らしていただけることを切に望みます。
とはいえ・・・
自分は『善管注意義務』を順守していたのに、退去時に敷金を返還されなかった
契約時に借主様に不利な条件を突き付けられた。
敷金以外にクリーニング代を要求された。
などというケースもあるかと思います。
そのような時にどう対処したらいいかということについて、次回のブログで解説したいと思います。