鎌倉日和のお散歩ブログ
鎌倉日和のブログ 【百人一首】
NHKのeテレ 【100分de名著】という番組が好きで、今までも何度かこのブログで紹介してきたのですが、今回は『百人一首』。
今の時代で言うと超有名歌人による『ベストアルバム』、平安末期から鎌倉時代にかけての秀作を集めたベストアルバムなのだそうです。
で、その『ベストアルバム』に収められている歌を分類すると・・
●恋の歌 43首
●四季の歌 32首
●離別の歌 4首
●旅の歌 4首
●その他 20首
百人一首というと、カルタ取りや坊主めくりという遊びでしかなじみがなかったのですが、この番組を通して、和歌に込められた意味や時代背景などの解釈を聞いて、まさに目からうろこでした。
ちなみに、この番組で紹介された歌の中から私がいいなと思うものをご紹介したいと思います。
■藤原清輔朝臣
永らへば またこの頃や しのばれむ
うしと見し世ぞ 今は恋しき
この歌は・・
過去の辛かった思い出も今は懐かしく思われるのだから
きっと、今辛くても将来懐かしいと思えることがあるだろう
と解釈されるのだそうです。この藤原清輔は父親との確執から才能に恵まれながらも40歳まで挫折の多い人生を過ごしてきました。後年になってからその才能により重用されるようになり、この歌にあるように昔のことが懐かしく思い出されるような晴れやかな日が来たのでしょう。
このように、読み手側も、作者の置かれた環境や背景を知ることによって、また、自分の置かれた状況や考えと重ね合わせて、歌を味わうことができる。
上の句17字。下の句14字。合計たった31字だけでここまでの深い心情を表すことができる。すごい文化ですね。
最近は日本の漫画が海外で読まれているようで、それはいいことなのでしょうけれど、こういう日本語の持つ美しさを残していくことも大切なのだと思いました。